時折、胸を衝くように〜どこにも居ないのだ、ということ〜

少々暗い話だけど、胸に溜めておくのも癪な話なので、雨音に紛れてボソリと記す。


先日、三銃士をリスペクトした、あるライトノベル作家さんのお別れ会が、渋谷のホテルで行われた。
その作家さんとは一面識もないし、作品も軽く立ち読みした程度で、
若くして物故されたことを気の毒には思うが、そこまでのことだ。
――そのお別れ会を主催したメンツを見て、気づいたことがある。
角川書店の重鎮系がそろっているのだ。
あのメンツの数名は、角川の社長すっ飛ばして角川ホールディングの会長に軽々と直談判できるはず。
それが敢えて作家主催でお別れ会を開いたということは、
会社側が動いてくれないことに業を煮やしたのかもしれない。
まぁ、それも彼ら内部の事情で、やはりそこまでのこと。


私がこの時、思い当たったのは
「アニメ業界の人は、誰も首藤さんのお別れ会を開いてくれなかったな」ということだ。
ゴーショーグンやミンキーモモでつきあいの長いプロダクション・リード、
ポケモンで金は唸るほどあるはずのOLM、
会社自体が動いてくれないというのなら、首藤さんと縁のあった脚本家有志で
ささやかな場所くらい設けてくれても良かったのではないか。
今回のライトノベル作家さんのように。
唯一、首藤さんを忍ぶイベントを開いてくれたのは、
コラムで付き合いはあったけど、利害関係は微々たるものだったに違いないアニメスタイルの関係者だけ。
…………あまりに薄情すぎるんじゃないのか?!
首藤さんがアニメ業界に残した功績は、あのライトノベル作家さんの比じゃないぞ?
今年なんかネタが尽きて、とうとうミュウツーのご威光にすがる始末じゃないか!


はてラボにキツいことでも書いてやろうかと思った後、はたと気づく。
首藤さんが死んでもう2年を経過しているというのに、まだ引きずってるのだろうか?
それともこれは、我が身の面白くない現状を首藤さんに一方的に重ね合わせているだけ?
……何にせよ、改めて思う。
もう、首藤さんはどこにも居ないのだ。
生涯、相見えることがなかったのだ。
お別れ会を開こうと、言い出す資格すら得られなかったのだ、と。


……引きずってんのかな?……