夜の桜並木にて

小雨が降る中、ブツブツ言いながら帰宅。
コンビニで売っていた非ビニール傘がやたら高いので何だろと思っていたら
骨が16本もあった。あらステキ。気が利いてる品揃え。


さて本題。
帰り道の経路に桜並木があり、今の季節は遠回りしてそちらを通るようにしているのだが、
不思議な現象に気づいた。
桜の咲く並木が、どういうわけか、遠くから眺めると、緑に見えるのだ。
「もう葉桜? いや、そんなはずが」と近づいてゆくと、
並木はようやく夜の桜花の色……白になる。
一度目は思い込みによる目の錯覚かと思ったが、
この現象が2度、3度と起きると、これは認識より現実を疑うべきだ。
白い街灯の光に照らされると、淡い陰翳が緑に見えるのだろうか?
それとも、桜色の花の中にもやはり葉緑素は入っていて、
それが光源の加減ではっきりと見えるのだろうか?


夜の桜並木を歩いていると、気づくことがもう一つあった。
夜の桜花は、昼間に比べてほんの少しだけ、花の開き具合が小さくなる。
つまり、昼間は満開だとしても、夜になると心持ち花を閉じてしまうのだ。
気温や太陽光といった様々な要因が重なっているのだろう。
だとすると、と自分は思う。
陽光に弱いという吸血鬼は、満開の桜の美しさを知らないのだろうか。
夜桜と月と吸血鬼、というのは、なかなか厨二モチーフで好ましいが、
青空の下の満開の桜に憧れる吸血鬼、というのも、なかなか可愛らしいものに思える。


などと思いながら、春を楽しむ日々。
ライトアップされた桜の美しさよ。この美しさを楽しめる平穏のありがたさよ。
2年前の、暗黒の目黒川沿いはもう見たくない、と思ってしまう。
だからといって、東京中を常時ライトアップする必要性もないと思うのだけど。