隕石のニュースに、ふと思いついたこと

先週、ロシアに隕石が落ちてニュースになったのは、耳目に新しいところ。
以下、概略。

 【モスクワ時事】
ロシア・ウラル地方チェリャビンスク州上空で15日、落下・爆発した隕石(いんせき)について、
ロシア科学アカデミーは重量10トン前後で、非常に硬い物質でできていたとの見方を明らかにした。
タス通信が伝えた。
 隕石は秒速15〜20キロの速度で大気圏に突入し、高度30〜50キロで分解した後、
同5〜15キロで爆発。大部分は燃え尽きたが、一部の破片は地上に落下した可能性があるという。
 同アカデミーによれば、同じような規模の隕石は年に数回の割合で宇宙空間から落下しているが、
通常は高度30〜50キロの上空で燃え尽きる。今回比較的低高度まで落下したのは、
鉄のような硬い物質でできていたためとみられるという。(2013/02/15-21:10)
http://www.jiji.com/jc/zc?key=%cd%ee%b2%bc%a4%ce%f0%a8%c0%d0%a4%cf%cc%f310%a5%c8%a5%f3&k=201302/2013021500861


鉄のように固い物質、というか、おそらく隕鉄なのだろう。珍しい話だが、事例がないわけではない。
日本の神社にも、隕鉄をご神体にしているところがあるはずだ。
そして、隕鉄といえばこの逸話だ。

【パリAFP=時事】
第2次世界大戦勃発前夜の1938年、
秘境だったチベットに足を踏み入れたナチス・ドイツの探検隊が発見した約1000年前の仏像は、
宇宙から飛来した隕石(いんせき)を彫刻して制作された極めて異色の作品だったことが分かった。
ドイツの調査チームが鑑定結果を26日、学術誌に発表した。
 この探検隊は、ナチス親衛隊(SS)長官ハインリヒ・ヒムラーの支援の下で派遣されたもので、
アーリア人の優越」というナチスの人種イデオロギーの裏付けを探るためにチベットに送られた。
ヒムラーアーリア人の起源はチベットにあり、その優越性の証拠が同地で見つかると信じていたとされる。
探検隊が持ち帰った仏像は毘沙門天の座像で、高さ24センチ、重さ10.6キロ。「鉄の男」と呼ばれていた。
化学的に分析したところ、約1万5000年前にシベリアとモンゴルの境界付近に落下したチンガー隕石の一部を
加工研磨して作られたと断定された。
ナチスのシンボルであるかぎ十字とは逆向きの「まんじ」が胸に描かれ、探検隊が興味を持ったと言われている。
(2012/09/27-06:26)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201209/2012092700069&g=int

どのような経緯でこの隕鉄が発見され、仏像に加工され、
どんな過程を経てチベットに渡ったのかを考えるとなかなかにして興味深い。
そもそも彫刻されている仏像は、毘沙門天と伝えられているが、最初からそうだったのか。
仏教はインドが発祥の地なのだから、各地に普及するまでは、
チベットにもモンゴルにもシベリアにも、それぞれ土着の神々がいたのだ。
チベットでは、土着宗教の流れを組む一派はボン教と呼ばれている)


なーんてことを考えながらチンガー隕石を検索してゆくと、
現在のトゥヴァ共和国を流れるチンガー川流域で発見されたのだとか。
ふむふむ、トゥヴァ共和国は「東はブリヤート共和国、南はモンゴル国、西はアルタイ共和国……」
…………むむ? ブリヤート共和国? 
これは確か、ウラン・ウデのある所では。
ウラン・ウデといえば、不思議な仏像があるところではなかったか?
確か重さ500キロで、2000年以上前に製作された仏陀の像だという……
(興味がある方は各自で検索していただきたい。岩田守弘さんという個人のブログ)
もしかしてウラン・ウデの仏像も隕鉄だったりするのだろうか?


ロシアから送られてくる映像を見ると、
隕石は空に真っ直ぐ雲を引いて地に落ちてゆく。
そして落ちたあたりからまばゆいばかりに発光している。
今の私たちは「飛行機雲のよう」「爆発か」などと日常に置き換えて考えられるが
昔の人々には、まさに神が衣の裾をなびかせて地に舞い降り、地上を照らし出したように
映りりはしなかったろうか。
だとしたら衝撃でできたクレーターの中の隕鉄を、神の化身と考えても何も不思議はないだろう。
そして月日が流れ、仏教がやって来た時に、その神はたやすく仏と置き換えられてしまったのかもしれない。


などと考えながら、ニュース映像を興味深く眺めました。
科学が支配する地球に舞い降りた神は、もはや信仰が得られないことがわかったからこそ、
湖の底に身を隠した、ふむ、良く出来てる、などと思いながら。