移りゆくメディアミックスを、あやしう、物狂おしく

夏目友人帳」の3期が始まっているので、地道に視聴はしている。
うん、見てるだけ。何か述べる気にもならない。
ブログ熱が冷めてるのもあるし、
一頃ほど「売れてほしい!」と思わなくてもいいようにもなった。
漫画もアニメも見てない一般人のお嬢さん人がヲイラの鞄見て
「あ、ニャンコ先生!」って言うんだもんなぁ、ゴイス。
話を聞いたらゲーセンのプライズ経由で知ったそうで
バンダイから来る夏目関連メルマガの会員だそうな。
今後もお話には全然興味のない口振りに苦笑しちまったい。


……しかし、一番気力を削いでんのは、
「3期のシリーズ構成&脚本の出来が悪い」という現実だ。
みたびアニメ化!(2期は予定のうちだろうけど)の発表時に
スタッフも公表されたのだが、その時に違和感があったのを記憶している。
シリーズ構成の名前が1・2期の人氏ではなかったからだ。
しかも、この新しいシリーズ構成の人の名前って、どっかで
…………
…………
…………
なかった!ブギーポップのアニメ化なんてなかった!
もちろん実写映画化なんてものもなかった!うん!大丈夫!
(嫌な記憶が甦ったようです:いや、あの映画、ホントにありえねぇ。
一万歩くらい譲歩して、ミニスカヤンキーな炎の魔女はしょうがないとしても
末間がレズ設定とかマジでありえ……そうさ実写化なんてなかったんだよ!
アニメもさぁ、あれ最後はどーなったん?
「ボクの考えたオリキャラだけどこの人もブキーポップ」に呆れて視聴止めたんだけど)


好ましくない方向に転がってるなぁと思ったら、他の脚本家も
アイドルマスター・ゼノクラシアの大先生なんぞが鎮座されている。
原作レイプで名の知れた作品だが、内容としても薄っぺらだった。
ヒロインが全身キメまくりで上京したとたん、パンチラを見られると言う展開だが
その時、なぜかダサいキャラものパンツを穿いていて
「こんな油断下着の時に〜〜!」と絶叫する始まり方だった。
ご都合主義にもほどがある。
女から見れば、決闘に赴くのに拳銃の弾丸込め忘れるくらいありえない展開だ)
「これはオリキャラ妖怪続々登場を覚悟すべきか」と思っていたのだが
現状は、覚悟していた惨状に比べればマシかな、といったレベルだ。
星界の紋章の脚本書いていた人も入ってるけど、この人すら微妙な内容で、
「カントクは同じなのにどうしてこうなった」といった雰囲気。
コンテ陣にも入れ替わりはあろうし、予算や作画の都合もあろうがそれを抜きにしても
原作からエッセンスを抜き取って30分に収めるやり方が、凡庸な流れ作業以外の何物でもない。
つーかさー、的場登場回の、血を集めてた祓い屋さんの式、
以前登場したカラスっぽい式ってことにしたいらしいけど、
そんなに主と信頼関係がある式なら、なんで見ず知らずの夏目のトコまで逃げて
くんのさ。
どっかに身を隠して助けを待ってりゃいいだけだろーが。
あとまぁ、人間抱えて空を飛べるほど強力な式を使い捨てにするかよ。
ほんと、アニメ家が考えたオリジナル設定って、破綻してるよなぁ。


そんなアニメと同時進行で「桜蘭高校ホスト部」がひっそりドラマになっている。
話を聞いた時は「白泉社、コンテンツ転がし屋にそーとー巣喰われてんな」と思ったが
実際に始まって見ると、思ったよりは悪くない。
あれが殿か、般若一号かと問われたら「否!」と即答するが
立ち振る舞いやセリフ回しに不快を感じないのだ。
おそらく、役者たちが自己陶酔せず、真摯に役と向き合っているのだろう。
この国の3次元もまだ捨てたもんじゃないなぁ、と感心してしまった。
ホスト部は、脚本の出来も悪くない。
原作コミックの内容をきちんと組み込みつつ、
ドラマなりの、だが原作の流れからは決して外れない独自のエピソードを付け足し
猫沢先輩を無意味に画面に出す(苦笑)という職人芸を披露している。大したものだ。
特に「ドラマなりの、しかし原作からは外れない」の外れなさ度が素晴らしい。
原作を読み込み、世界観の根底を尊重する姿勢がないとできないことだ。
ストーリーの流れだけはなぞりつつ、余計なエピ付け加えまくって話が破綻した
アニメ版とは大違いである。


この二つのメディアの出来の違いは、スタッフ個々の能力というより
原作に対する姿勢の違いによるものが大きいように感じられてならない。
ホスト部も夏目3期も、作り手たちの
「三流文化の少女マンガとかゆーのを、偉大なるアニメ業界に所属するオレ様の力で、
マトモなものに仕立て直してやるぜぇ!」的な
上から目線の傲慢な姿勢が透けて見えてならないのだ。
この傲慢な姿勢があるからこそ、余計な手を入れて話の整合性がなくなっても、
気にも留めないのだろう。
なぜなら、元の世界観を尊重するという発想がないのだから。
原作を否定するスタンスから入るのだから。


まぁ、こんな日々が続いている一方、再放送が妙に熱かったり。
東京MXで再放送中の「ハートキャッチプリキュア」を最初から見ているのだが、
確かにこれは名作だと言わざるを得ない。
(本放送はサンシャイン登場あたりからしか見ていない)、
ちゃんとイケメン初登場時に、正体=コッペ様の伏線が引いてあって感心した。
最後の決戦で、コブラージャがサンシャインに執着する前振りも、
夏合宿のあたりで軽く触ってあったし。
(そーゆー悪役側のエピソードをふくらませずに全部削ぎ落としたのが、
惜しいとこでもあるのだが)
映画も名作だったな。DVD買おうかしら。オペラ座のゆりさんサイコー。


東京MXは、他にも「魔法プリンセス・ミンキーモモ(初代)を再放送していて
2011年の今となってはなかなか複雑な感慨で視聴している。
……3代目、作るんだな。どうあっても。
ミンキーモモじゃないといけないのかな。
葦プロ魔法症状30周年、じゃダメなのかな。


そしてもう一つ、思った以上に面白い再放送が「宝島」だ。
名作だろうとは思っていたが、想像以上の迫力にただただ驚いている。
そしてこの作品、出崎統という監督の名で知られているが
意外なことに脚本が実に良い仕事をしているのだ。
そんなわけで、しばらく「宝島」関連のコンテンツを分析してみようと思う。