喩えるなら、だ

今の仕事についてからの私にとって、夢とは
天上に輝く星のようなもので、
そして、夢をつかまえるということは、
星を手中に収めて、それが自ら光っているのではなく、
何かの加減でそう見えるただの土塊だと思い知ることだった。
土塊の中には、金の粒も混じってはいるのだけど、
黄金が欲しいのなら、最初から地べたに這いつくばっていたよ。
何度か星を手中にして、そのたびに頭の上から星が消えて、
私はもう、疲れていたし、諦めてもいた。


だから、子供の頃から頭上に輝いていた星にも、
あえて手を伸ばそうとしなかった。
あれまで土塊と思い知らされるなんて、悲しいじゃないか。
どうぜ土塊なんだから、確かめる必要もないじゃないか。
急ぐ必要もないじゃないか。


星の方から消えるなんて、思いもしなかったんだ。