雑感「エリザベート」帝国劇場

東宝版はこれで二回目でございます。
以前は、俗に言う電飾版。トートは山本勘助・07版大河ドラマ
今回はNIGHT・HEADの人だったので、
これでY氏も視聴すればグランドスラムなのだろうが、
まぁ急がなくてもいい気はするよ。
(というか、某クロロック伯爵を拝見しているので、
どんな黄泉の帝王であらせられるか想像が付いてしまうよ)



さて新演出とのことで、どこがどうはしょられるのかドキドキしていたが
プロローグの子供ルドルフと成人ルドルフ揃い踏みが健在でホッとした。
(先日来日したウィーン版では削られていたので)
いいよなぁ、子供ルドルフと大人ルドルフが並び立つシュールな世界観。
さすがあの世だなんでもアリだぜ!
あと大人がグダグダ低音で歌ってるところへ、少年のボーイソプラノ
高音でピーンと入る構成も好きだったりする。
カットされなくて本当に良かった。



前回から時間が経っていること、来日版&DVDを複数回見たせいもあって、
「あれ? ……ああそうだ、ここは日本ではこういう流れだっけ」と
新鮮な感動と記憶の甦りが脳内で入り乱れてしまいました。
愛と死のロンドは、CDで聞くと違和感ありありなナンバーなのだけど
(正直、クラシックの中に東方アレンジが紛れ込んだみたいに思える)
舞台の流れで聞くと不自然さがないのが、我が感性ながら妙ですな。
武田氏のトートは、あんたシシィと観客どっち向いて歌ってんのな感じで
ちょっとこちらの心情的に落ち着かない。
ただ、ロックスターでセクシーなトートの雰囲気は十分にあったと思う。
も少し年齢を重ねて、雄の香りがプンプンしてきた頃にまた見たいものです。
エリザベートは……ううむ。まぁ、こんなもんでしょうかね。
色々と日本人的シシィを表現しようとした意気込みは買いたいですよ。
ちょいとツッコミ入れるなら、エリザベートの時代の女性は
お股おっ広げて馬に乗らないッスよ、と。
多分演出する方もわかってて『パパみたいになりたい』シシィの、そして乗馬の記号として
あの動作を採用したのでしょうが。
(フランツ・ヨーゼフに男みたいな動作で握手を求める仕草もあったしなぁ)
んでフランツ・ヨーゼフは鈴木・ヘルシング教授・綜馬氏。
……ま、正直、この人が目当てでもあったのさ。
カッコ良かったですよ。好意に値するってヤツですか?
ゾフィ母さんに決別のハンドキスをするシーンではときめきましたよ。
後、ラスト近くの悪夢シーンで、トートダンサーを
ちぎっては投げ(られ)、ちぎっては投げ(られ)てる所も、なんかカッコいいと思ったり。
いいじゃありませんか、崩壊に抗う最後の(老いた)皇帝の胆力!
♪いたはしや老いの身の手練れし剣に(違)
高島兄のルキーニは電飾版の方が良かった。
トートより身長あって肉厚の体を持ったルキーニは、多分日本だけなんだから
それを活かした演技の方がいいと思うのですよ。
ルキーニはプロローグでトート閣下と歌合戦しちゃうポジションなんだし
あんまりキ印演技せんでも、カッコよくても何も問題はないですよ?
キャスト陣はそんなところでしょうか。



舞台装置にお金がかかってる雰囲気な分、トートダンサーの衣装が安上がりになった雰囲気。
というか、トート≒マリー・ヴェッセラの演出は取り入れんでよろしい。
あれは本家ウィーンが明らかに間違えているっ!
名付けて皇太子ルドルフの悪夢!
それに付き合う我々も悪夢っ!
他に気になった所があるとしたら、皇太后ゾフィーの退場かなぁ。
トートダンサー=死の使いが訪れるのは正しいのだけど、
二人がかりで横抱きにしなくてもいいような。お姫様だっこもヘンだけど。
……ん〜、変えるとしたら、脚部にキャスターを仕込んだ椅子を登場させて
ゾフィー手を取られて導かれ、くずおれるように座る→トートダンサー椅子を押して退場、みたいなノリかなぁ。
あとまぁ気づいたんだけど、日本語版では、
裁判シーンの天の声にきっぱり「裁判長殿」って言ってんのね。
ウィーン版では相手を(少なくとも裁判シーンでは)特定していないのだけど。
死後の世界の裁判官て、閻魔様かいっ!



小池氏はこれの演出やりながら、宝塚の企画も進めてんだよなぁ。すげぇなぁ。
半島コンテンツが金を稼ぐのはありがたくないが、がんがれ〜。