宇宙と電脳の旅・前編

rosaline2007-12-26

東京大学総合博物館で「異星の探査〜アポロからはやぶさまで〜」を見る。
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/exhibition/2007planetary_geology.html
「わーい月の石が見られるんだ〜」な軽いノリで行ったのだが、
なかなか見応えのある展示だった。


「月の石」自体は小さなカケラ、地球に運ばれてすぐに樹脂に封印されたというモノで
もっとゴロンとした塊を連想していたので、少々ガッカリ。
だが、その月の石の展示の後ろに、セキュリティのロボットが控えており
(確かセコムのマークが入っていたと思う)
展示の後ろ側……立ち入り禁止区域に入ると電子音声で
「立ち入り禁止です。立ち入り禁止です」と警告してくる。
これがなかなか趣深いものがございました。
なぜって見学者はロボの声など気にも止めず後ろに回りまくり。
見かねて人間の警備の人が声をかけてくる始末。
がんばれ、ロボ。
警告音とか鳴らせば効果あるのかもしれないが、
それじゃ展示の雰囲気が壊れるよなぁ。


この月の石の後ろに、プロジェクターで月関連の映像が数種類
ループで投影されていた。
かぐやの打ち上げ記録とか、アポロの月着陸の記録とか。
↓のせいでかぐやの映像が流れるたびに頭の中で音楽が流れて閉口。
ttp://www.youtube.com/watch?v=jqZyYcvtK18&feature=related
アポロの月映像は、何度かTVで見たものもあれば、
ここで初めて目にする類のものもあった。
私的に興味深かったのは、月面車の移動を撮影した映像だった。
タイヤで巻き上げられてやがて地上に落ちる月の砂の軌跡が
明らかに地上で見るものとは違う。
とても細かい塵のように、長い間虚空を漂ってゆっくりと降りてゆく。
ああ、ここは重力の違う世界なのだ、という違和感に近い驚き。
こんな世界を(短期間とはいえ)歩き回って、
よくぞ人の体に何も起きなかったものだ。
宇宙飛行士という人種は、明晰な頭脳と頑丈な身体、
そしておそらく生命力もたくましいに違いない。
(このポテンシャルが一歩間違うと、おむつ装着で900マイルぶっ飛ばす訳だ)


この月映像の横に、壁面をいっぱいに使って火星の映像が映し出されていた。
無人機で撮影したものらしく、映像の真ん中にメカ部分が映り込んでいるのはご愛嬌。
ボール型のマウスでカメラを操作することができるので、
360度全方位を見ることができる。(前進もできたような?)
なかなかユニークな試みだと思うし、知識のある人が見れば面白いのだろうが
見渡す限り赤い地平線で、目印になるようなものもないので、
漠然と景色を眺めるうちに飽きてしまった。
それにしても火星は見渡す限り赤茶けていて、月は灰色ばかりで、
生命のない惑星というものは、これほど彩りに欠けるものなのか。
地球もただ海ばかりだとしたら、青と白だけなんだろうな。
進化バンザイ。


他に興味深かったのは「はやぶさ」の展示。
小惑星イトカワのサンプルを持ち帰るという、
なんが地味というか、ソレ何の役に立つんですか?な内容だが
いざ目の前に「イトカワ」の詳細な映像を見せられると
「へー、小惑星もなかなか味があるじゃん」という気になってくる。
そして実際、そうなのだ。
ちびっこくても惑星で、ちゃんと重力もあって
地滑り現象も起こしている(のを観測できた)し。
そして、小さな探査機で、細々とマーカー打って観測してを繰り返し
よくここまで綿密な調査ができたな、と
日本の技術の優秀さに感心してしまう。
宇宙ステーションとか有人飛行とか、派手さはないけど、
地味で学術的には優秀だよなぁ、日本の宇宙探査。
も少し称えられてもいい気もするんだけど。
(↓「はやぶさ」についての動画:アポロ13ぽくて面白い)
ttp://www.youtube.com/watch?v=1m5LmgkjFWI&feature=related


いやぁ、宇宙は広大だな、と思いながら赤門を後にし、
カロリーでごはんを食べてから腹ごなしを兼ねてアキバまでおさんぽ。