「アンナ・カレーニナ」(トルストイ)

アンナ・カレーニナ(上) (新潮文庫)

アンナ・カレーニナ(上) (新潮文庫)

上中下でコレで揃えました。毎度おなじみ予習ですな。


ほぼ予備知識なしで読んだのですが、うう〜む。
アンナとヴロンスキーの主人公カップルに共感できません。
リョーヴィンとキティというもう一つの主人公組がいてくれて良かった……
こっちがいなかったら苦行レベルでした。


アンナの苦しみは確かにひしひしと伝わってくるし、理解はできるのだけど
あーたに捨てられた子供と亭主の苦しみはいかばかりか、と。
アンナ本人は自分の恋のため=自業自得の苦しみでしょうが
子供の頃に親を亡くし兄にも死なれて孤児だった上に女房に浮気された亭主・カリーニン
いきなり母親がいなくなった息子・セリョージャは何の咎もなくこの災難なワケで。
も一つ突っ込むなら、ヴロンスキーとの間に出来た娘・アンナを
「この子供を妊娠したのが人生のツラい時期だったので、セリョージャほどには愛せない」って


お前はどこのDQN親だっ!



ダメだ、読んでる時は文章のところどころにハッとするものはあったのだが
いざ感想をまとめようとするとアンナの××ぶりに不快感が押さえられない。
やっぱキャラ造詣って大事だ。とっかかりだもんな。


キャラ造詣から離れてみると、ロシア貴族の日常が細々と描かれていて、
このあたりは面白かったです。あんま西欧と変わらないのね。
領主と百姓の関係、すなわち雇い主と雇われ側の関係も、
なんかこー、どっかで聞いたような話で身近でした。
……サボる。言われた通りにやらない。新しいものをまず拒否る。
きっと人類の永遠の課題なのねー。


そして、帝政ロシアの末期のロシアに「スラブ民族主義」という
なかなかややこしい思想が芽吹いていたのが興味深い。
これが共産主義になり変質し、周囲の侵攻へつながったのかな、などと。
そういや給仕が人種特定されてんのが「タタール人」ばっかで興味深かったわ。
ロシア&タタール男性のコンボとくれば、バレエなんだけどな自分的には。
あ、バレエという単語は出てきたけど、劇中ではあっさりした扱い。
お気に入りのバレリーナと食事、みたいなノリでございます。
むしろ外国から呼んだオペラ歌手の舞台を、芸術としてありがたがっている様子。
1877.バレエ・リュスまであと25年、ディアギレフは生まれているのだが。


ああ、興味深いといえば、この話の中で登場人物の多くは
モスクワ&ペテルブルグを往復するのだけど、
鉄道が大切なガジェットになっているのと
ネフスキー通りという名称が何度も出ているのが印象的でした。