自分的には『猫と犬と人間と』ですけどね

見て参りました。吉祥寺バウハウス最終日。
公式HP
http://www.inunekoningen.com/


ええと、想像したよりはキツくないです。
ですが、生易しくもないです。
ことごとく現実の問題ですから。
ちなみに自分の猫問題スペックを晒すなら
・野良猫の死を看取った
・猫の死産、流産に立ち会った
・未熟児で生まれた子猫が数日で死んでしまった
・保護した子猫の里親も何とか見つけた
こんなカンジですかね。それでも、避妊手術のところはやはり直視に耐えがたい点があります。
獣医さんが「明日だったら生まれてこれたかもしれない」という胎児達は
確かに、あの大きさなら充分育つだろうな、と思ってしまいました。
「たまに動くことがあって怖くてしゃがみこんでしまう」という発言は
命の尊さを知り、慈しむ心があるのに、それを殺さなければならないという
矛盾のくびきの重さを感じました。
そういう人だからこそ、ボランティアをやっているのでしょうけど。
これと同じような趣旨の発言は、愛護センターの職員さんからもありました
「動物が好きな人間が、この仕事をやるべきだ。
動物が好きじゃない人間は、最終的に動物をどうしてもモノと扱ってしまう」と。


……以上は猫党からの意見。
犬が好きな人的にはどうなのかな。
ドリームボックス(殺処分の設備)に送り込まれる映像は
犬のものばかりでした。
(猫ももちろん処分されているのだけど)
あと、犬の場合は間違いなく、飼い主から見捨てられた犬なので
目が何とも哀しげに見えます。
一方、人間側の事情もキツいものがありました。
生活保護を受けるために犬を手放す……
家を競売にかけるため犬を手放す……
確かに人間の勝手な理由だけど、愛情が失せた訳じゃない。
お金の問題は切実ですね、やはり。
とりあえず自分的に、愛猫ズを守るために何があろうと、
自分の食い扶持は稼がなくては! と心に誓いました。


関東近辺の愛護センターの現状
(この名前も問題だよね;実際は殺処分施設なのだから)
複数のボランティア団体、個人のボランティア、
徳島の崖っぷち犬を保護した愛護センターでの里親捜しの一日等々、
ひとつひとつが、動物を好きな人の、一生懸命な気持ちの記録でした。
……なのにどうして、不幸な動物がなくならないのかな。
やはり無責任な販売に問題があるのではないかなぁ。
自分も、そういうペットショップを併設しているお店を利用するのは
控えるべきなのか、と思ったり。
……安いんだけどね、⊃−ナン。


ある意味一番衝撃なのは、昨年の多摩川の氾濫時に
河川敷のホームレスの人の家が流された、という話の詳しい事情です。
猫が流されてゆく映像がニュースに出た、と聞いてはいましたが、
どうやら、流された家と一緒に住んでいた人も行方不明なんだそうです。
……統計上存在しない人は、行方不明になっても探してもらえないのだ。
間違ってるだろう、さすがにこの現状は。
個人ボランティアのオーストリア人のマルコさんが
「日本人は簡単に捨てすぎる。犬を捨て猫を捨て、
そして自分が子供からも捨てられる」という言葉が、胸に突き刺さりました。


とりあえず自分ができることがあるとしたら、
「猫の避妊手術は行うべき」と人に言い続けることなのかな。
……自分だって愛猫ズを避妊・去勢させることにためらいはあったけど、
そうでなければ天寿を全うさせるために引き受ける覚悟もできず、
何より、冬の寒さや雨の中から守り、
危険の多い屋外から家の中に止めておくことはできなかったのは事実なので。


……簡単な正解がない問題を扱った映画です。
多くの人に見せるべきだと思います。
解決しろなんて言わない、こうした問題が起きているのだと
心の中に一度でも留めておくことが必要だと思います。