虫たちの冬

窓の外で一匹だけカネタタキが鳴いていて
寂しかろう辛かろうなどと思ってしまう。
一番最後の生まれて、一番最後まで取り残されて、
きっとメスはもういないんだろうに。


庭先には数日前まで、蜘蛛が物干し竿に巣を張っていた。
エサがいつまであるのかなと心配しつつ、かわいそうなので
なるべく巣を壊さないように洗濯物を干すという楽しい状態になっていたのだが
数日前の夜間の豪雨で、すっかり流されてしまった。
この気温で地べたに落とされては、あの蜘蛛は生きてはいないだろうなぁ。


以前も、庭に蜘蛛が巣を張った冬はあったが、
正月の松の内が過ぎたころに、姿は見えなくなっていた。
ああ、やはり冬は越せないのだと悲しく思った記憶がある。


こっちが勝手に自分の感傷を押しつけているのだろうけど、
やはり、昨日まで居たものがいなくなるのは悲しいことだ。